12/7第11回読書会(テーマ: 今年最も印象に残った本)の感想

【R.M】
 今年最も印象に残った本がテーマだったのですが、前半に読んでいた本はあまり覚えておらず(笑)、結局10月頃買った「街場の戦争論内田樹)」を紹介しました。
この本で印象に残ったのは、自称リアリストは現在の状態を絶対的な物と認識しているが、実際には少しばかり条件が変わったらこうはならなかったはずという「弱い現実」と、条件が大きく変わっても揺らぐ事のない必然である「強い現実」があるという論で、これが自然淘汰のような強力な現状肯定の理屈に反論できる可能性がある考え方だと感じられた事、人や社会の「デフォルト戦略」も弱い現実を形成する非常に大きな入力の一つだろうと思っている事なんかを話しました。
皆さんからは「ローマ亡き後の地中海世界」、「一神教と国家」、「休みたくても休めない人の疲労回復法」、「風邪の効用」、「乱反射」、「楽園のカンヴァス」を紹介していただきました。
 一神教と国家、ローマ亡き後の地中海世界については、イスラム教に関連する本で、イスラム教独特の倫理観や世界史におけるイスラムの隆盛について、かなり興味深く話を聞き、一度この辺をもっと詳しくやってみたいという意識を新たにしました。
 「休みたくても休めない疲労回復法」は、一週間に15時間(?)しか休めなかった人の話を聞きながらだったので、非常に切実な話で、「目をつぶる」「鼻呼吸」などの地味な対応で疲労回復できるという事が驚きでした。
 「風邪の効用」は、神がかり的な整体師の本で、うまく風邪をひくと逆に体の調子が整うという不思議な理論を紹介してもらいました。
 「乱反射」は街路樹が倒れる事故で子供を失った親が原因となったモラル上の問題を追求をしていく話で、犯罪ではないけども許されないモラル違反はどれくらいなのかといった話を興味深く聞きました。
「楽園のカンヴァス」はアンリ・ルソーの絵の真贋や芸術家とキュレーターの軋轢を描いた史実を元にしたフィクションとの事でした。この読書会では2度目(しかも別の人の紹介)の登場だったので、きっと面白いに違いないと思いました。
 今回もおいしい紅茶を飲みながらとても有意義な日曜の午前を過ごせました。

【R.T】
 普段自分が読まないタイプの本を読み、読書の幅が広がるのが楽しいです。
今回一番読みたくなったのは、「街場の戦争論」です。
「日本は主権国家ではないという自覚を失った」という言葉は、
なんとなく感じていたことをズバリ指摘されたような感じがしてハッとしました。
そうなんだよね。首都のごく近くに、他国の軍の司令部があるっていうのは、
やはりどう考えても、普通は主権国家とは表現しないよね。
文庫本になるのを待たずに読んでみたい気がしてきました。
今年は冬休みが長いので、読んでみますかね。